なかなか面白いページを発見した。内容は極めて含蓄に富んでいる。
グローバル・ヒーティングの黙示録
第二章 非再生エネルギー発電の衰退
トリウムを燃料とする原発
<トリウム炉の原理>
地殻に含まれる トリウムはトン当たり8グラム、ウラニウムは2グラムで資源の量ではウラニウムの4倍あります。ところがウラニウムは大部分が海水に溶けてしまっています。トリウム232は 陸地に閉じ込められています。そしてレアアース(希土類)採取の残渣として世界に数十万トンの在庫があります。今の世界の原発と同じ規模(4億kW)を今世紀末まで動かせる量です。
というわけでトリウム炉が今世界で見直されています。オーストラリアのマイケルジェフリー総督は2009年5月、「持続可能なエネルギー源としてトリウム利用を考えるべきだ、トリウムは核兵器を生まないからだ」と述べま した。2009年10月にドイツで開催された気候変動専門家会議でも議論され、2009年12月の日中印温暖化専門家会議の声明文にも明記されております。米国民主党のリード上院議員が2億5000万ドルのトリウム燃料研究開発費支出法案を提出しました。チェコでも2013年から溶融炉実験炉の建設計画があるということです。水爆の父、エドワード・テイラーも亡くなる前、トリウム溶融炉を支持していたといいます。インドでは固体燃料を使う増殖炉にトリウムを混ぜる方式を研究しています。
トリウム232は90個の陽子を持っています。 トリウムは自身では核分裂しませんが熱中性子を拾って核分裂できるウラニウム233になります。一挙にウラニウム233に転換するのではなく、まず中性子を拾ってトリウム233となり、これがベータ崩壊して、プロトアクチニウム233となり、更にベータ崩壊して、ウラニウム233となります。こうして生成したウラニウム233をトリウムと混合して燃料とする核分裂炉です。燃料再処理が必要となります。そしてこのウラニウム233は核分裂して余剰の中性子を生みますので熱中性子炉で連鎖反応が可能となります。稀少な資源であるウラニウム235の濃縮なしに、また高速炉なしに無限のエネルギーが得られます。
232Th + n → 233U; 233U + n → fission prod. + 2.3n
ただこの反応で余剰の中性子は0.3しかありませんので、中性子損失があると連鎖反応が継続しません。この追加的中性子源としてウラニウム235またはプルトニウム239を加えるか中性子源として陽子加速器を使うことが考えられます。カール・ルビアは加速器を提唱しています。しかし加速器が高価なことと、電力消費が多く、多分経済的ではないだろうと考えられます。
この反応は強い放射能を持つ半減期30年程度の核分裂物質ストロンチウム90とかセシウム137を生成しますが、半減期の長いプルトニウムなどのアクチノイドの生成が少ないというメリットがあります。
0 件のコメント:
コメントを投稿